駆け引き×スクープ3~Red Devil 赤い悪魔~
†side:月詠†
ージャキン
最後の、髪が床に落ちていく。
私の髪は短くなり、まばらに切られていたー‥
「アンタさえ、アンタさえいなければ、壱十は私のモノだったのに!!」
未だに合成音声の声
けれど辛辣な女性の叫びだったー‥
この人は、栗塚さんが好きだった。
その想いが、
こんな行動に変えてしまったー‥
愛する人の為なら、人はこんなにも酷くなってしまうのー‥?
ううん、違う。
本当に好きなら……
「きちんと言葉で伝えるべきだわ…」
ぼそりと呟く。
けれど、その言葉は彼女に聞こえていた。
「諦められなかったんでしょう?栗塚さんの事」
優しい人、だから
いつも無表情で、感情を露わにしない人
抑揚のない声
怒るけど、いつもその灰色の瞳には私を心配してた。
私の気持ちを、受け止めて、大事にしてくれる。
そして、
私を抱き締めてくれる、あの優しい腕ー‥
すべてが、優しい人だから
好きになる気持ちも諦められない気持ちも
わかる事ができる。
「でも、だからって逃げていい訳じゃない‥真っ正面から向き合わないといけない。栗塚さんは、絶対向き合ってくれるから」
「そうよ、、、向き合ってくれたわ!!だから……だからもう、あの人は私を見てくれないの!!」
ボロボロと、泣き崩れる彼女
「だから私は……私を見てくれないのは、貴女がいるからだと……だから、貴女を殺そうと……」
「それは違……」
「黙れっ!!」
そう言うと、彼女はハサミを、私に振り上げてきたー‥
私は、降りかかるハサミに、目を瞑るしか出来なかった。
やられる……!!