シュガースパイスな君
「ふーんって……あたし言ったじゃん。乗る前に。」
「そうだっけ?」
「…………。」
秘技・黙殺
黙って相手の瞳を直視すれば大体の人が、白状する。
「ごめんなさい。まさかここまでとは思わなかったんだよ。」
「……ばか……。」
「なんか言った?」
「何も…。」
「なんか飲み物買ってくる。なにがいい?」
「…ココア…」
「ん。ちゃんと待ってろよ?」
「わかってるよ?」
「お〜。」

休んでた。ただ、それだけだった。悪いことなんてひとつもなかったのに……。

――――パァンッ…

突然、遊園地のその雰囲気には似つかわしくない派手な銃声。数瞬後聞こえてくるお客さんたちの悲鳴。
自動販売機の前に倒れる男の人。……それを大地だと理解するまでに少々の時間を要した。

「ぁ…ぁ…大地…」
急いで駆け寄る。
「大地…?大地?…ねぇ…大地…?」
いくら呼び掛けても返事はない。大地は頭を撃たれていた。
揺すらないほうがいいということはわかっている。……頭では。体が言うことを聞かない。

「琥珀さま!揺すると出血が…!」
今日の運転手であった珊(シャン)があたしに駆け寄り言う。

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