シュガースパイスな君
「琥珀…?」

強く強く…優しく抱き締める。

「おい!琥珀!!」
「…っ…はぁ…はぁ…」
「大丈夫か…?」
「あ……」
「悪い夢でも見たか?」
「…ぅ…う、ん……」

なんでおれこんな奴の心配してんだろ…。
「ごめん…。寝ちゃって…。」
「別に…。」
「……あたし…帰るね。」
「……………明日は…来ないのか?」

うっかり口を滑らして言ってしまったおれの気持ち。
本当はすごく来てほしくて、来なかった間情けねぇけどすごく寂しかった。

「………来て……いいの……?」
「いつダメなんて言ったんだよ。」
「……ありがとう…。来れたら…来るね…。」
「あぁ。」

来れたらって言うのは、用事が無ければ、って意味だよな…。

けどおれには他の意味があるように思えて。
でもそれが、おれが聞いていい気がしなくて聞けなかった。

―――――……
【琥珀Side】

いきなり大地に抱き締められて、すごく戸惑って、固くなってたらしく、
「固まんなよ。」
と言われて、その言葉と大地の温もりがとても優しいもので、
「泣きたければ勝手に泣け。」
って言われて、あたしの涙腺は決壊してしまって……気付いたら寝てて、いつもと同じ夢を見た。


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