好きです。
何度も何度も。何百枚も撮り続けた。

撮り続けて、そしてようやくあたしはこれという写真を撮れた。

それはあの葉っぱの上で輝く朝露の写真。

感動した、一番のお気に入りの写真。

それと同じ。ううん、それよりもっといい写真が撮れた。

あたしはカメラの液晶に映った写真を眺めて、感慨の声を漏らした。


やった。ついに、撮れた。


この写真を、コンクールに出そう!


締め切りのギリギリだったけど、あたしは先生に作品のタイトルと、画像データを渡した。

無事に申し込みを終え、コンクールに間に合ったことを藤原くんに伝えよう。

そう思って、あたしはたぶんいるだろう裏庭へ向かおうとした。

階段を下りようと、踊り場に出たところで、声が聞こえてきた。

その声は女の子の声で、震えているのがわかった。


「ずっと好きでした」

告白だった。

告白場面に出くわすなんて、なんて間が悪いんだろう。そう思った。

その場から立ち去ろうと、静かに階段を上がり始めると、聞き覚えのある声が耳に届いた。

「びっくりした」

それは藤原くんの声だった。

藤原くんが、告白されている相手だった。

藤原くんが……


頭がしびれていくのがわかった。

胸が苦しくなった。


何……この気持ち。

胸が苦しくなっていく。


何? どうして?

思わず、胸元をギュッとつかんで、走ってもいないのに息苦しくなった呼吸を整えるように、あたしは息を吸った。


どきどきと不安に高鳴る胸の鼓動を抑えるように、下で聞こえる声をもっとよくきくように、あたしは耳をすました。

「付き合ってください……」

告白を聞いているのがつらかった。告白を聞こうとする自分がみじめにも感じられた。

こんなふうに、人の気持ちを盗み聞きするなんて、最低だ!

あたしはこれ以上ここにいることができなくて、静かにその場を立ち去った。

苦しい胸を抱いたまま、あたしは心が痛む理由を探した。

どうしてだろう? どうしてこんなに苦しいの?

それは尋ねなくてもわかることだった。

そう、これは間違いない。


あたし、藤原くんのことが好きなんだ!



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