ハク息がシロイ


「はい、そのまま押さえてあげてねー」
先生は平泳ぎの足を教える。
ビートバンを使えばいいのにお腹を押さえてもらうって・・・。
「うんうん、じょーずだよ 刹那ちゃん♪」
今、聖くんを殴りたくなった。
一瞬だけど。
私はまるで幼稚園生同然で扱われている。
それは確かに泳げないけど、そこまで密着しなくても溺れないのに!
やっぱり変だ、何もかも。
「今思ったんだけど、刹那ちゃんって柔らかいよねw」
「んなっ」
確かに最近お腹周り太ってきたかなぁー って思ってたけど
・・・って!?この人、摘まんでないない!?
「ちょっと、はなしてっっ」
聖くんは笑いながら
「はい、どうぞ♪」
と急に手を離した。
私の体は浮く事もなく沈んでいく。
「!?」
さすがに聖くんもビックリしたようだった。
必死になって私を抱き上げる。
私は聖くんにしがみついて一息をした。
「し・・・か・・・・お・・・った・・・。」
死ぬかとい思った。と言ったつもりだった。
でも聖くんはケラケラ笑い出した。
「鹿おった、って・・・刹那ちゃん 鹿みつけたの??」
「ちがっ・・・」
途中で口を人さし指でおさえられた。
「嘘々、急に離したりしてごめんね♪もう離さないから。」
私は数秒頭がぼーっとしたがすぐに目をそらした。
そのあと私は聖くんにコツを教わり、10メートルくらい足をつかなくても泳げるようになった。
聖くんは
「うんうん、進歩 進歩♪」
とからかったり、私が溺れそうになると助けてくれた。
聖くんって、思ってたよりいい人かも。
そう思えた男女混合体育であった。
< 4 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop