Honey Sweet Melody

新任式での再会

＊　＊　＊

「楽しみだね！新任式。」
「どこが？」
「だってー今年は新採用が二人いるんだよ？イケメンだったらどうしよー。」

　紗和の情報通は前からだ。教師に特に強い思い入れもない華音にとっては、新任式なんてどうでもいい。

「イケメンだったらって紗和…。あんた彼氏いるでしょ？」
「だって目の保養は何人いたっていいじゃん。それに順平はそういうことでいちいちうるさく言わないもん。」
「うるさく言わないからって気にしてないとは言えないでしょー？」
「え？そうなのかなぁ…。」
「さぁ？」
「さぁって…華音は適当すぎる。」
「別に適当に言ってるわけじゃないよ。」

華音は大きくあくびをした。ゆっくりと外を眺めると快晴だった。きっとこんな日は屋上の空気が気持ちいいはずだ。

「今年度は普通科に7人、音楽科に2人、美術科に3人、そして体育科に2人の先生を迎えることとなりました。」

　新しく赴任してきた教師の説明が始まった。華音の通う学校、『美空学園』は結構有名な私立の中高一貫校で、普通科が4クラス、音楽科、美術科、体育科がそれぞれ1クラスずつある。華音たちは普通科である。

「次に、数学担当の五十嵐陽先生、お願いします。」
「はい。」
「「「「「きゃーっ！！！！！」」」」」
「え？」

華音は凄まじい悲鳴ではっと我に返った。

「ちょっ…華音見てっ！超イケメンだよ、あの新採用の先生！」
「え？」

華音はゆっくりと目線をステージ上へと移す。教頭が静かにと叫んでいるのが聞こえる。騒がれている先生は確かにイケメンだったけど、華音はその先生の隣にいるもう一人の新採用の先生の方に目が奪われた。

「っ…あー！あいつ、先生だったの！？」
「えっ！？華音？」

華音の場違いなボリュームの声が体育館に響き渡った。