alternativeⅡ
ドイツ連邦警察局
大きな鞄を両手で持ち、ニット帽を深々と被り。

シオンは白い息を吐きながら周囲を見渡した。

「モスクワって寒いなぁ…ドイツより全然寒いよ…」

一人呟きながら、テクテクと歩き始める。

陸路はAOKの支配域を通過しなければならず、とてもではないが車や列車での移動は出来ない。

ドイツから空路で、シオンはロシアへ入国していた。

世界高校空手選手権大会の時に何度か海外へは行った事があるが、たった一人での国外旅行は初めての事だ。

不慣れな事もあり、キョロキョロしながら空港内を歩く。

ターミナルを出た所でタクシーを捕まえ。

「国連軍モスクワ管区基地までお願いします」

シオンは運転手に告げた。

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