alternativeⅡ
Operation Sunset
最終作戦前夜だというのに、妃は睡眠時間を削ってモスクワ管区の研究室に籠もり切りだった。

薄暗い研究室で、額に汗すら浮かべて一心不乱に作業を続ける妃。

その表情は真剣そのものだ。

やがて。

「ふぅ…」

顔を上げ、その額の汗を拭い、彼女は大きく息を吐く。

完成した。

これがあれば…。

何とか最終作戦開始前に間に合った『それ』を、自分の90式歩兵強化装備のポーチの中に入れる。

これでいい。

準備は万全だ。

あとは…。

時計を見ると午前0時を回った所だった。

あと三時間は眠れるか…。

作業台に突っ伏し、彼女は目を閉じる。

僅かばかりの、最後の休息の為に…。

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