Voice

18. 瀬川 梓(せがわ あずさ)

♪18♪






部屋に残ったのは、私と梓だけ。






私は、この気まずい空気を他所に

早速、ピアノの練習に、取り掛かった。








ピアノを、弾いていた人なら、

経験した事があるかもしれない。




ずっと、鍵盤に触っていないと、

指が馴染まくなって違和感を感じ、

指が言うことを聞いてくれなくなる。






今の私は、まさに、その現象にある。







そんな調子が悪い時は、

いつも、軽く音階練習をしてから、

譜面に取り掛かる。




何事にも、まずは、基礎練習が大切だ♪

これは、私のモットー!

(だったら、毎日練習しろよ…笑)







ゆっくりのテンポから、




少しずつ速く…




速くしていく。








たまに、リズムを変えたりして…。







私が、この作業をやって、一息着いたところで、





さっきから気になっていた、私をじっと見つめる視線、




近くに座っている、”あの男”を見た。






< 132 / 369 >

この作品をシェア

pagetop