Voice

5.ベルの気持ち

☆5☆


私は、びっくりしてベルの方を向いた。


ベルは、うつむき加減な格好で言った。






「私、仕事辞めたいの。」





首を傾げて聞いた。


「なんで?!

私は、ポップスとか嫌いだけど、

歌うのって気持ちいい事じゃん。



それで、お金貰えるなんて

すごくラッキーなんじゃないの?」





ベルは、首を振って、

自分の腕を掴んで言った。





「私も、歌を歌ってお金を貰えるから、

この仕事は、本当に、いい仕事だと思う。



…でも現実は、そうも行かなくて…。



恋や好きな事、出来ないし

…大きな嘘をついてまで、

仕事をしなくちゃいけないし…。」






なるほど。

それはそれで、辛いかも知れない。




 つまり自由が無いって事かぁ。


「何となくわかった気がする。

歌手も大変なんだね。」




私が、しみじみ言うと、ベルは頷いた。




「ベル!!

何を話してるんだ!!

スタジオに着くぞ。

準備しろ!」




社長が言った。






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