Voice






「…そうじゃないんだ。

私が気にしてるのは、

そんなことじゃなくって…。」




私は、

大きく

溜め息をついて言った。














「才能とか、

それも大切だと思う。




…でも、私、


この仕事に、

そこまで

望みや情熱を持って、

取り組んでなかった。




むしろ、

今まで

興味も無かったから。




あの子達みたいに、



中には、

人生賭けて努力してきて、

それでも、

叶わない人がいるのに。




こんな

中途半端な気持ちを

持ってた私が



当たり前のように

ベルの隣りで

歌ってる事が

なんだか、情けなくて。





自分自身が

許せないの。」












「…美紀。



まさか

”辞める”



…なんて、

言わないよな?」








遠夜は、

心配そうに言った。




< 264 / 369 >

この作品をシェア

pagetop