Voice

10.不運な歌手の誕生

☆10☆



不幸というものは、続くものだ。




なんで、私が男装して、


好きでもない曲を歌わなくては

いけないのだろうか…。






しかも、白い仮面まで。

…あぁ、なんのコスプレだ?







何だか、涙が出そうだよ。














「素晴らしい!!

一度も袖を通したことが無いというのに、

まるで、君の為に作られたみたいだ。」











 社長は目を輝かせていた。






…何でだろう。

私、体格は、あまり大きな方じゃないのに…。













「イケる!

これなら大丈夫だ!!

胸も目立たないし、スタジオにいる誰もが、

君の事を、『男』だと思うだろう!!」









 お、男って…。













「まさか、スタッフの人とかに

私が女だって、言わない、つもりですか?!」










 確かに男って設定で歌うから、

男装するのはわかるけど…。





いくらなんでも、

スタッフや関係者には、

話すでしょ。







…普通。








 しかし、社長は、まるで、

当たり前のように、笑って言った。





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