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21.風邪①

○21○



「…へっくしゅん。」



撮影は、日に日に

忙しさを増していた。




仕事と学業の両立で、

ハードだったせいか…。


はたまた、

この間の、

寒空の中を

薄着のドレスで走ったせいか…。

(多分、両方のせいだと思うけど。)



今朝から、

頭がぼーっとする。


風邪でも引いたかな?





「…ふぅ。」



「大丈夫?」




だるくて息を着くと、

隣りにいた遠夜が

心配そうに覗き込んできた。





「う、うん。平気平気!」




笑顔笑顔。


"病は気から"ってね。





「美紀。

でも、顔色悪いよ。

もしかして、

風邪引いたんじゃ…。」





「大丈夫大丈夫!

とりあえず、

これで撮影終わりだし。

午後からは、

学校行くから!」




私達、

本業は学生だから。



仕事の合間を縫って

授業に出ている。



特に、

実技が成績になる科目は、

出席日数が厳しいから、

私はもちろん

遠夜もあの梓でさえ、

授業に出ている。



確か、今日は、

体育だったような…。



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