Voice

「…んなのよ。

梓、あんたどういうつもり?」






…頭が痛くなってきた。






「さっき、倒れたばかりだろ。

とにかく、今日は休め。」







「そんなの、

私の勝手じゃない!

あなたに関係ない!」






睨みつけてそう言うと、

梓は溜め息をついて言った。







「…お願いだから、

無理するなよな。




強がっても、

全然、可愛くないから。」









「はぁ?!

突然なに?

可愛いとか、

可愛くないとか、

今、全然関係ないでしょ。




というか、

そもそも、

あんたなんかに

可愛いなんて思われたくないし。」







「関係無い?

無茶苦茶あるだろ!



ったく、

さっきから、

黙ってれば…。



誰がここまで

お前を

おぶって来たと思ってんだよ!




お礼は言われても

文句言われる筋合いはないっつーの。」






えっ、嘘…。

知らなかった。



梓が連れてきてくれたの?


わざわざ…なんで?





「それに、

今日の撮影は雨の中で、

俺達のキスシーンだぞ。



風邪でも移されたりしたら、

こっちが迷惑だ!」




うっ…。

確かにそうだ。




自業自得の風邪を、

周りに移したら、

それこそ、申し訳ない。






…本当に、

自分に甘い。

私。


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