ふたりだけの特別な絆
「えっ?」
悠哉さんはドアを開けようとするのを止めて、私の方に視線を向ける。
驚いた表情で見つめられて、妙にソワソワしてしまった。
「さ、さっき…水澤さんが、出張のこと言ってたのを思い出したので…。」
「あー…あれか。再来週に隣町の郊外にある会館で、大きな会議があるんだ。そこに俺と水澤さんが代表で出席することになってるんだよ。一日中、会議だから出張扱いなんだ。」
そっか…。
そのことを言ってたんだ…水澤さん。
二人だけで行くんだ…。
「隣町ってことは…車で行くんですか?」
「そのつもり。多分、どちらかの車で一緒に行くことになるだろうな。」
「そうなんですか…。」
あれ…?
私…落ち込んでる?
一緒に行くって言っても仕事なんだよ?
別に、気にする必要ないはずじゃん…。
そう思いながらも、気持ちは何だか複雑で…
口からは、また質問が飛び出してしまった。
「その出張って、と…泊まり…なんですか?」