ふたりだけの特別な絆
めちゃくちゃ緊張するよぉ…。
さっきの練習の時とは比べものにならないくらいのドキドキっぷりだ。
でも…
思い切って…。
「ゆっ…悠哉さん!私…伝えたいことがあって…」
「ん?」
頭を撫でる手を止めて、私を見つめる悠哉さん。
向けられた眼差しに、心臓は破裂してしまいそうなほど慌ただしく動く。
「あ、あのっ…」
震える唇から必死に言葉を出そうとした瞬間…
“ガチャッ”
その音と共に、玄関のドアが開いた。
「き、如月課長…!このクリアファイルっ、忘れ物です。助手席の下に落ちていました…。あっ…!」
慌てた様子で中に入って来たのは…水澤さん。
私と悠哉さんを目にすると、少し気まずそうな表情に変わった。
「こ、こんばんは…陽菜ちゃん。」
「こっ、こんばんは…。」
水澤さんと交わした挨拶は、ぎこちなさが漂うものになってしまった。
「あっ…。忘れ物ないか確認して降りたつもりだったんだけど…ごめんな。ありがとう。」
「い、いえ…。そのおかげで、もう一度…課長と話せましたから…。」
クリアファイルを悠哉さんに渡す水澤さんは…フワッと優しい笑顔。
話すのが嬉しい…っていう気持ちが表情に滲み出ていた。