超能力者だけの世界で。

《Promise》


―多彩町・南区―

多彩荘。
磁波エレキの部屋。


彼の部屋には居候がいた。
兄の磁波カンジ。


「また、電話してたのか?」

「あ、お帰り、エレキ。」


エレキはベッドに倒れ込む。
カンジは近くの床に座った。


「どうした?」

「闇原さん…、兄貴知ってたんだろ?」

「…、本人に訊いた方がいいよ。」

「だろうな。」


話のネタが尽きて無言の空間。
すると、カンジが小声で言う。


「明日からさ、お前。学校だっけ?」

「あ!そうだ!」


忘れていた。
色々な事が短時間に起きすぎて。
まだ、ココに来て1ヶ月経つか経たないかだ。

長い時間だった。


「その手続きの電話だったんだよ。 一応、保護者だから。」


学校までの地図をエレキに渡す。

「…ありがと。」


字が綺麗。
自分の兄なのに分からないことも多い。


「…どうした?」

「いや…、そういえば、夕飯どうする?」

「あ、俺がやるよ。毎日やってもらってるし。」


毎日、エレキが作ってくれている料理。
今日はカンジが作ってくれるらしい。

少し嬉しかった。
そして、大半は好奇心だった。


「分かった。」


短い返事。
黒川赤次と闇原黒也のことも気にかけながら…。



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