ひみつのはら
7.ナオちゃん


 昔、ポツリとおねえちゃんが言った言葉。


 ―――「"知らない"って、怖いね」―――


 その意味を、4歳の女の子が理解できるはずもなく。


 その意味を女の子が理解したのは、2年後の、6歳の時だったんだ―――。



              ♪



 それは、ホントに突然だったんだ。


 ほかのみんなは「夏休み!」って楽しそうなんだけど、あたしたちチューリップ組にはそんなもの、ない。


 あるのは「カキホイク」。夏の幼稚園っていみ。


 だからその日も、いつもみたいに朝7時に起きて、ごはんを食べて、おきがえをして。


 さっちゃんちが来るまでテレビをみてて。


 そしたらね、見たことのないCMが流れたの。


 服屋さんのCMで、男の子と女の子の2人が説明しながらいろいろ着るっていう、普通のやつ。


 でもあたしは、そのCMを見て固まった。


「どうしたの?」


 そんなあたしに、おねえちゃんが声をかける。


 あたしはただ、ビックリして動けない。




 
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