不器用な僕たち

◆涼 side◆


   ◆涼 side◆


「……アイツ、またいるな」

「あぁ」


事務所ビルの二階。

窓辺を横切るふりをしながら、さりげなく窓の下を見た浩平がぼそりと呟いた。


ビルの目の前にあるコンビニ。

その中に設置された雑誌コーナーからはこのビルがよく見える。

ヤツは立ち読みを装いながら僕が出てくるのを待っているんだ。


「つかさ、アイツ、絶対新米だぜ?」


浩平は小ばかにしたように、せせら笑う。


「そうかもな」


ベテランの記者なら、あんなバレバレな行動はしない。

顔も割れてしまっているし。


……だけど……。

今もまた、こちらに視線を送ったアイツは新米の記者なんかじゃないんだ。

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