不器用な僕たち

◇千亜紀 side◇



   ◇千亜紀 side◇


「……なに……これ……」


学校帰りにふと立ち寄った本屋。

今日は発売される雑誌が多いから、涼ちゃんが載っている雑誌を片っ端からチェックするために立ち寄った。

音楽雑誌。女性誌。ファッション誌。

いろんな表情でカメラに収まる涼ちゃんを堪能したあと、本屋を出て行こうとした私の視界に映ったもの。


【ベルマリ・涼&来須ミク、交際発覚!】


スクープ誌の大きな見出しが、私の足を止めた。


もちろん信じられるわけがない。

ほんの一週間前。

涼ちゃんから「今度の週末、こっちにおいで」って電話があったから。


長期の休みでもない、普通の週末。

突然の誘いに「どうしたの?」と私が訊くと、涼ちゃんは「会いたいから」と言ってくれた。

< 124 / 162 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop