不器用な僕たち

「……千亜紀さん、相変わらずお盛んなことで」


密接している俺と千亜紀の家。

計算されたかのように俺たちの部屋は顔を合わせるような位置にある。

昔から何か用があればホウキの柄で千亜紀の部屋の窓をノックしていた。



「…お盛んって何よ?意味分かんないし」


窓伝いに俺に呼ばれて顔を出した千亜紀は鼻で笑いながら言う。


「今日一緒にいた男、誰?」

「教育学部の桂木」

「付き合ってんだ」

「……見れば分かるでしょう?」


千亜紀は胸にかかった髪の毛を指に絡ませ弄んでいる。


「……おまえさぁ、桂木で何人目だよ」


そう聞くと、千亜紀は指に絡ませていた髪の毛を解き、両手を使って数え始める。

一人…二人…三人……、六人…七人…。

両手全てを使い終わり、千亜紀は深い溜息をつきながら「足の指を使っても足りないわ」と言った。

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