子うさぎのお世話




時春はあの頃からどこか大人びた子供だった。



いつでも何でも出来る時春。



同い年なのに、どんなことにも不器用な雪兎は時春に世話を焼かれてばかりだった。



いつの頃からか自然と思うようになっていた。



――――ハルがいなきゃ何も出来ない。



その頃雪兎は本気でそう思っていた。



だから…時春がいなくなるなんて



考えたこともなかった……。



時春がいなくなって雪兎の世界は真っ暗だった。



小さな雪兎が思うのは時春のことばかり…



――――逢いたい。



つのる思いは雪兎の成長とともに恋に変わっていた。



時春のことしか考えなかった雪兎にとって、当たり前のようなことだった。



まるで…



雛鳥が一番最初に目にしたものを親と思うような刷り込みにも似た想い…。



だけど…それだけ盲目的に時春だけを想ってきたのも本当なのだ。







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