キスしかいらない

side葉菜子

思わず叫んだ私は、立ち上がって居間を出た。
「ハナちゃん!!」
自分の部屋に逃げ・・・たら捕まる。
方向転換して、家の外に飛び出した。


ばかばかばかばか。
天久さんのばかっ。

あたしのためだって言うなら、毎日、姿くらい見せてよ。
ちゃんと、あたしのためだって、言ってよ。

近くの公園まで全力疾走しながら、
苦しさと、うれしさとでぐるぐるになった。

「ハナちゃん!!もう暗いから危ないって」

息を切らせて追いかけてきてくれたのは、天久さん。

「~~っ!!」
逃げようとしたら、力強く腕を掴まれた。
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