希望の唄~運命とぶつかった純愛の物語~


「ふぅ・・・」


あたしは昇降口に来ると荒れた息を整えた。


そして息を吸い、また歩き出そうと思った。


「紗恵って、あんたよね?」


「え?」


振り向くときつい目をした女子が仁王立ちしてこちらを見ている。


「あんたがうちの浩貴をたぶらかした女よね?」


「・・・誰ですか?あなた。」


「篠田美咲。坂口浩貴の彼女。」


「そう。・・・で、要件は?」


「は?」


「たぶらかしたとか何とか言ってるけど、短期間付き合っただけよね?まるで篠田さんには関係ないように思えるけど。」


「うちという彼女が居ながら、浩貴はあんたと付き合ったんじゃねぇのか!?」


「そんな事情は初耳。それなら当たる相手はあたしじゃなくて浩貴って人じゃないの?」


「男好き!ちょっと可愛いからって、調子乗んじゃねぇ!!」


篠田さんはあたしを突き飛ばし、あたしはその衝動で尻もちをついた。


「殴って気が済むなら殴れば?確かにあたしも悪いし」


「なっ、何なのよ!?」


「でも、これを浩貴って人に言ったらどうなる?即破局するよ」


「うちと浩貴の絆はそんなもんじゃないし!」


「じゃあなんで浮気なんてしたんだろうね」


「ふざけんな!」


そして篠田さんはあたしの頬を叩いた。



< 37 / 53 >

この作品をシェア

pagetop