恋の病
ガラッ

まるでざわめき声を裂くように先生が教室に入ってきた。

あたし、遂に終わりだ―――。

心の中でどんなに大きく叫んでも、時間は刻々と過ぎてゆく。
もうヤケだ!と残り僅かの時間でペラペラと教科書を開いて仲間内に聞きまくっている男子達。
必死になってるその姿が可笑しくて、笑ってしまいそうになったけど、咳をして誤魔化した。
あたし、人のことそんな風に言えないんだ。顔には出していないけどあたしは男子達よりも遥かに努力していないのだから。

あ、理彩を中心に集まってる"派手"グループもいつもはダルッって机に隠したケータイ見てたり、時には着メロなったりして真面目に授業受けてないのに、ノート見せあったりしてる。

"地味"目なグループの紀伊さん達も、勿論と言ってはなんだけど、黙々とノートに何かを書き続けてる。

ん?真由はやっぱ余裕なのかな?

早速、真由に目線を変えてみると、テスト勉こそしてないけど真由の視線はもうすぐ1、2分足らずで"時間"になってしまうのにあるものへと向けられていた。


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