あの足があがるまでに
白波
ついさきほど、長い長いありきたりなお説教が終わった。

このことはまだ親父にはばれていない。それになにより安心したのは、河里さんが笑顔で「おはよー」と声をかけてくれたからだ。でも、嫌なこともあった。

昨日学校を抜け出してしまったものだから、クラスでは「不良」と見られてしまったのだ。そんな性格じゃないのに・・・。

いっそこのまま不良になってしまおうかなんて思ったけど、問題起こして親父の耳にでも入ったらもう俺の命はない。だから、誤解を解けるよう学級委員というのをやってみた。

「学級委員、男子やりたいやついるかー?」

「・・・・は、はいっ!」

「みっ水野!お前本気か!」

「本気ですっ!やらしてください!」

「・・・・まぁやりたいのなら、やれ!ただしひどい場合は誰かと交対になるからな!!」

「わかってる!」


そしてそれから俺は授業も真面目にうけ、学級委員の仕事もきちんとこなし、先生の手伝いまでもする完璧なエリート君になった。

そのおかげで「不良」というイメージは消えたみたいだ。だが、ここで久しぶりにあの「河里沙良」に会う。隣のクラスなのに、俺はなにかと忙しくて廊下にもでていなかったから久しぶりに会った、といえるのだ。

「や、やあ。久しぶり」

「あ、河里さん」

「っ・・!さん付けとかやめてほしいんだけど」

「え、ダメ?」

「うん、ダメ」


エリート君だったのでクラスメートも全員「さん」付けで呼んでいた俺にとっては、拒否されるなんてこれっぽっちも思っていないことだった。

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