世界が廻って君と出逢う




俺のことで悩んでくれたのが(大輝も入ってるけど)何故かとてつもなく嬉しい。


少しでも、雪乃の中に俺がいれば、今はそれだけで幸せだ。


きっと、キョリが縮まるごとに、俺の欲は増すだろう。


ただ、今は姫の近くにいるという喜びを噛み締めているだけ。


ただそれだけ。


だからさ、今のこのキョリは、俺だけのもの。


人一人分のキョリなんて、俺にしたら嬉しい限り。


この小さな喜びをはいつか消えて、欲となっているだろうけど、今はソレだけを大切にしていたい。


でもさ、雪乃。


今、これぐらいは一足先に欲張ってもいいよね?



「今度は何、雪乃?」
「なんか、嬉しいんだもん」


その笑顔は俺のモノにしてもいいよね?



「帰る?」
「いや、もー少しだけ、いよ?」



今日も、昔とは違う、人一人分のキョリ。






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