きみへのおくりもの
始まりはいつも片思い
頭上は果てしなく広がる大空。流れゆく雲。
街路樹の若葉が新しい季節の訪れをつげている告げている。
銀座の街並を闊歩する若者や行き交う子ども連れの家族の頬には、季節に似つかわしい笑みがたえず浮かんでいる。
4月2日ー
世間は春。春休みも、もうじき終わりを迎えようとしているそんな日のこと。
和也は姉貴と銀座の街をとぼとぼと歩いていた。 少し先に見える手に届きそうなぐらいの低い空では、小鳥たちが群がって飛び間わっている。とても楽しそうに。
人もそれぞれが抱え込んでいる不安や苦しみといるう重荷を放り投げてしまえば、あんなふうに空を飛べるようになるのだろうか。
現実味のないことを胸中でつぶやき、しかしそう思いながらもたった今それができるのなら、俺は誰よりも真っ先に何もかも放り投げ自由を求めるに違いない。
「姉ちゃ-ん、もうおしまいにしようよー。俺いい加減疲れちゃったよ」
両手にデパートの紙袋を持ちながら少し前を歩く姉貴に文句をつける和也。
「何言ってんのよ。男の子なんだからしっかりして・・・。たまには姉孝行もするもんよ
」あたかも当然の如くしれっと答える姉貴。
「何だよ姉孝行って、大体何で俺を使うんだ」
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