キミに真心をこめて

『まぁ、気が向いたら会いに行ってよ。遥も喜ぶよ。』


遥が喜ぶ??俺に会って??手紙の返事もこないのにー…。


『大丈夫だよ。私が保障するから。』


俺が不安がっているのに気付いたのか、猪股はそう優しく言ってくれた。


『まぁ…近々会いに行くよ。』


『うん、そうして。じゃあ、用はもうないよね。私そろそろ教室戻るから。』


猪股は屋上を後にした。


残された俺と洋平は、いまさら授業を受ける気にもなれず、そのまま屋上に居座る。


『なんか…思ったよりも収穫なかったな。約束だからとか言って、何も教えてくれなかったし。』


この言葉に、洋平は何も答えない。


こいつはこいつなりに、何か考えてるんだろうな。


< 74 / 130 >

この作品をシェア

pagetop