響け、空に―
考が死んでしまってから、俺と高木は毎年墓参りに行っている。
最初はバラバラだったが、毎年墓の前で会うため、どうせなら一緒に来ようということになった。
高木は芸能界に入り、有名な女優となった。もう俺とは、住む世界がちがう…と言った感じだ。
そんな高木の芸名は「若森笑美子」
考が死んでしまっても、彼女が想い続けていることがわかる。
今年の墓参りの日
駅前に車を停めて待つ。
十分もすると…出てきた。
「高木‼」
手を振って呼ぶ。駆け寄ってくる彼女は、画面を通して見るよりキレイだった。
車に乗せてからゆっくりと発進する。
俺は今まで、女と付き合うということは何度かあったが、今日以上に緊張したことは無い。
高木が有名人だからか?
高木だからか?
多分、後者の方だろう。
しばらくしてお寺に到着し、墓前に行くと考の母親がいた。
「美咲さん…‼」
高木は考の母親の元へ走って行く。
二人が話している間、俺は花を供えて線香に火をつけた。
高木に線香を渡してから、俺は考に手を合わせ、語りかける。