最果ての月に吠える
ただ一枚の檻を挟んで存在する主従関係など無意味なのだ。





それでヒカルが襲われたならそれまでだ。





その時はこの動物園から逃げられない私も同じだろう。





ニホンザル舎の檻を開き私はペンギン舎に走った。





近くにはヒョウ舎がある。





急がなくてはいけない。





月明かりと火事が赤く染める夜空の下にぽっかりと現れる氷山の一角に寄り添うペンギン達が燃え上がる炎を見上げていた。





ペンギン舎の檻を開けて柵の前に戻ってくると群れから離れた一羽のペンギンは一人だけ月を見ていた。





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