依存偏愛

ぐるぐると巡り続ける消えることない後悔に、酷くなる頭痛。

…――どうしよう、どうしよう。

何が“どうしよう”なのかも定かじゃないまま、相変わらずあたしを見つめる椎名から顔を背ける。

でも本当に、もう、どうしたらいいのかわからない。助けてよ、雫。もうすぐ合同練習だって実施されて、雫にも会わなきゃならないのに。あたしはどんな顔して、あんたに会えばいいの。


「片倉?」

「……うるさい。椎名に何がわかるの。」


もう、椎名への反論にさえ、力はこもらなかった。けれど、そんなあたしの顔を椎名は半強制的に自分の方へ向けさせ、変わらない調子で言葉を紡ぐ。


「わかるぜよ。おまんのことは。」

「……わかるわけない。」

「わかるき。ずっと、見てきたんじゃ。」


鋭い瞳が、あたしを射抜く。
「何を見てきた訳?」と、そう返そうと思った言葉は、結局言うことなく口内で霧散した。

それもこれも、椎名が余りにも似合わない優しい微笑をあたしに向けたから。刹那、


「……好き、ぜよ。旭のことが。」


あたしに有無を言わさず、そう言って重ねられた唇。後悔と罪悪感にまみれたそれを、あたしは黙って受け入れた。抗う意味を、今は見いだせなかったから。





【CHAPTER:07/side*ASAHI/END】
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