依存偏愛

side*SHIZUKU


旭ちゃんが私を避ける。
今まで見たこともないような冷たい目で、私を見る。


「旭、ちゃん……?」

「ごめん。今、忙しい。」


さっきから、何度こんな会話を交わしただろう。午後の練習が始まってから、まだ1時間も経っていないのに、5回は軽く交わした気がする。

…――でも、何で?どうして?

私が何か、旭ちゃんの気に障ることをしてしまったのだろうか。何も思い当たる節がなくて、不安になる。

ふと、大谷くんと私のことを旭ちゃんが知ってしまったのかと心配になったけれど、それなら何か言ってくるはずだよね……?

わからなくて不安だけが募り、旭ちゃんが遠ざかっていくようで、怖い。
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