メリー何とかの掛け声と共に【短編コメディ】



まずい…まだ実君を含めその他大勢の子どもたちへの配達が終わってない…。

かといってこの青年の願い通り光の丘公園まで連れていけば確実に残業だ…。ここから数時間はかかるような距離だ。

どうする…黒須。


サングラスの奥から不安たっぷりの視線を投げかける。


「すまんが兄ちゃん、これタクシーじゃないんだ…。」


いけるか?!と思ったのも束の間


「これから子供たちの家を回るサンタクロースの業務をやらなきゃならんのだ。

悪いが光の丘公園には自分で行ってくれ。」


最早このサンタクロースには秘密もへったくれもないのか。

バカ正直に答えてしまった黒須への不信感を格段に募らせた田中井だった。








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