メリー何とかの掛け声と共に【短編コメディ】



バタンッ…

男二人が熱い缶コーヒー片手にワゴン車に乗り込む。


「降ってきちまったなぁ。まぁ今日くらいは良しとするか。」


缶を開けコーヒーを一口飲む。

【やさしい美味しさ】と表記してるだけあって口の中に程良く甘いコーヒーが行き渡る。


『まさかお前があのプレゼント渡すとはな。

あれ、幸子さんに贈る結婚記念のプレゼントの指輪だろ?良かったのか?』


田中井も一口飲み込む。


「いいんだよ。彼女さんは幸せな未来を゛貰えて゛、兄ちゃんも彼女さんを嫁に゛貰えた゛んだからな。

俺達サンタは一人でも多くの人を幸せにしてなんぼだ。」


ふんと鼻で笑う。

やる気あるんだかないんだか分からないがこんな奴だから今まで何やかんや一緒にやって来たんだろうと。


「さて、休憩もしたことだし配達行くか。今日は残業決定だな。」

『あ、忘れてたけど幸子さんからの伝言だ。

クリスマスパーティは明日やりましょう、ってよ。クリスマスイブがあるなら後夜祭があってもいいでしょうって言ってた。』

「まじか?!やる気湧いてきた!」


またワゴン車は走り始める。

一つでも多くの笑顔を見たいがために。

この変てこなサンタクロースとトナカイが次に行く所はあなたのところかもしれない…。









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