4 X’mas story
僕は街はずれの山のふもとにある、この街でひとつしかないケーキ屋のパティシェだ。

自分で言うのもなんだが、割と女性からは人気がある。

まぁそれは単純に女性がこの店を訪れることが多く、僕と接する機会が多いからなのかもしれないが。

ティナもこの店のお客さんだった。

彼女に夫がいるときは、ときどき僕の作ったケーキを買っていってくれた。

僕の作るケーキがとても美味しくて、アイナも喜んでるなんて言葉をもらって、そのたびに嬉しくなっていた。

しかし、今ではショーウィンドウ越しに眺めながら

「ママ、このケーキきれいだよ」

「ほんとだ、こっちも可愛いね」

「うん、これ美味しそう。食べたいね」

「大きくなったら作れるようになろうね」

と、アイナと、微笑ましくも切ない会話をするだけである。
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