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そういえばコイツは小さい頃から、クリスマス自体には興味がないくせして、クリスマスケーキだけは食べたがるヤツだった。


だけど、横目に映したメグルの表情は無に近い。
無邪気も邪気もまったくない。

眠そうに瞬きをしながら、マグカップを傾けている。


生まれた時から知ってなきゃ、これが本気でケーキを食べたがっている顔には見えなかったはずだ。


高校から数年間はどうだったのかわからないけど、でも5年前、メグルが突然うちに転がり込んできた時、“変わってないな”と思ったから、たぶんメグルはずっとこんな感じ。


そんでたぶん、俺もずっとこんな感じ。生まれた時からね。



「……んじゃ」


残り少なくなったコーヒーを喉に流し込み、カップを持ったまま立ち上がる。


「買いに行く?」


空になったカップから視線をずらし、ソファに座るメグルを見下ろしそう問いかけた。
返ってくる答えは、


「めんどくさい」


だよね。




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