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それから先に立って歩き出す。

ケーキ屋からの帰り道なら、メグルが先でも迷子にならない。

さきほどよりも明るく見える道を、また3歩、間隔を開けて2人歩く。

時刻は13時を過ぎていた。


「メグル」
「なに」
「昼、何食べる」
「なんでもいい」

それが一番困るよね。

「じゃ、どっか食べ行く?」
「え、ヤダ」

だろうね。

「家なんもないけど」
「カップラーメン」
「それはある」
「じゃそれでいい」


お互い顔も合わせずに、昼食はカップラーメンに決定。


「安い昼飯」と俺が笑うと、「じゃあ作るラーメン」という、なんとも単純な答えが返ってきた。

どちらにしても、簡単なことに変わりはない。


口を尖らせるほど面倒くさがっていたクセに、メグルの右手は、しっかりとケーキの入った箱を握りしめている。

また信号に足止めされ、立ち止まったその後姿は、欠伸を隠す素振りも見せない。


帰ったら、コーヒーを淹れろと命令が下るはずだ。

でもたぶん、俺がコーヒーを淹れている間に、ヤツは眠る予定なのだ。
そんで俺は、コーヒーを淹れるフリをして、毛布の用意をする予定。

メグルが眠ったそのあとは、クリスマスソングのアレンジを考える。



そんな昼下がりの予定。





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