私達の世界
受付の会場をでて、外に行くと、やはり同じ事を考える人が多いのか、生徒達であふれていた。
少しだけ段差になっている所に登って、ぐるりと辺りを見回して見る。

「おうおう、皆各々話してるね。」

「そうだね、誰か暇な人いないかな〜」

見渡した時、小学校時代の友達を何人か見つけたが、皆思い思いに話していたので、どうしても話し掛けずらかった。

他に誰か暇そうな人がいないか二人で探していた時、不意に後ろから制服の裾が捕まれた。

「やほぃ!」

その後に間の抜けた声が続く。
振り向いてみると、そこには小学校時代からの見慣れた顔が立っていた。

「由羽じゃん。」

「よう!」

吉村 由羽
麻稀と同じで、私の小学校時代からの友達だ。
比較的身長の小さな少女で、良く言えば面白く、悪く言えばうるさい。
明るく剽軽で彼女の周りには笑顔が多く、悲しいときでも笑顔にしてくれる。そんな子だ。

そんな由羽が私の制服の裾を掴みながら、とても素敵な笑顔を浮かべていた。

「中学生だね!」

「まあ、正式にはまだだけど。」

相変わらずの明るいテンションで、入学がホントに嬉しいのか、その場でピョンピョンと跳ねている。

「なんだ、テンション低いな〜」

「由羽が高すぎんじゃね?」

由羽は跳ねるのをやめて、少しつまらなさそうな顔をした。

「そんなことないよ〜。あ、話変わるけど、クラス別けの紙もらった?」

「いや、まだ。どこでもらえた?」

「あっち」

そういって由羽が指差した先には、中学校の先生であろう人が一生懸命紙を配っている姿があった。
きっとあの先生らしき人が配っているのがクラス別けの用紙なのだろう。

「もらい行く?」

私達のやり取りをずっと後ろで見ていた麻稀が、私達の顔を覗きこむようにしながら聞く。

「うん。じゃ、行くか!」

「うん!!」

麻稀の返事を合図に紙を配っている先生らしき人のところに歩いていった。
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