続②・絶対温度-私の定義-
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大通りのど真ん中に堂々と位置するのはこのシーズンを象徴する大きなツリー。やたら派手な電飾に、何組かのカップルが親密な空気を存分に醸し出して見上げている。


あたしは、というと、このピンク色の雰囲気には些か不似合いだと感じるスーツ姿に、いつも通りまとめられただけの黒髪。

煌々と存在を主張するツリーの前で一人。まるで間違えた装飾のように立っている。


行き交うカップルを眺めながら、あの過剰に肌を露出した格好では寒くないのか、とか余計な心配をしたり、下着はどんなだ、とか考えるのは変態ではなく、職業病だと言いたい。


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