ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

どうしてそんなことを聞くの?

きっと私はそんな顔をしていたんだと思う。


「これから、その10倍程度、辛い目に遭うことを覚悟した方がいい。

とりあえずこれを、出航前に飲むこと。

いいか、絶対忘れずに飲みなさい」


コウさんが、ジャケットの胸ポケットから、銀色の小さなものを取り出した。

私の手を取って、それを握らせる。


一瞬触れた手が、すぐに離れてエレベーターのボタンへ。


もう、Aデッキに着いたみたい。

私を先に通してくれた。

そんな仕草の一つひとつが、あの夜を思い出させるんだけれど……。



渡されたものをちらっと見たら。

酔い止めの薬だった……。

なるほど、そういう事、ですか。

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