ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
そう聞いてみた途端、コウさんの表情が険しくなった。
「仕事中にすべき話ではない」
「す、すみませんっ」
慌てて謝ったけれど、私の手を離して、コウさんはどこかへ行ってしまった。
どうしよう、勤務時間にこんなところで寝ているだけでも大迷惑なのに、介抱してくれた上司を怒らせちゃった……。
私、やっぱり社会人としての自覚が足りなかったんだ。
あの夜の親しみやすい『コウさん』と、上司の『黒田パーサー』は違う。
今日、最初にそう忠告してくれたのに、つい……。
自分の甘さが情けなくなった。
コウさんが手を放したこともあって、気持ち悪さがぶり返す。
あ、ダメ、目を開いたら、吐きそう。
自分で腕組みをするようにして、さっきコウさんに押されたツボを探す。
そこを両手の親指で押しながら、目を閉じて船酔いに耐えるしかなかった。