花嫁と咎人

でも、進む他に道はない。

後に引けば王国騎士団が迫っている。
こんな所で干乾びて捕まるなんて、俺のプライドが許さない。

それからまた数時間。
途中で大きな岩を見つけた俺達は、そこで昼食を兼ねて休憩を取り…また歩き出す。

幸い、誰も脱水症状にはなっておらず、熱中症にもなっていなかった。

勿論…フランは目も合わせてくれなかったが…。
まあいい、後で問い詰めてやる事にしよう。


それにしても“サザルツ”は果てしなく遠かった。

こんな状態が続いて2日間。
3日目の朝を迎えたとき…丁度水が底をつく。


「ヤバイ、オレ…ミイラになっちゃうかも…」


「そんな事ないわオズ、ほら!男の子なんだからしっかりするのよ!」


「…うん。」


ぐずり出したオズを、見かねたフランが声をかけて。


「親子か。」


俺が突っ込む、の繰り返し。

そんな事でもしていないと、暑さで参ってしまいそうだった。


そしてそれから数時間後。


「…町だ。」


砂丘を上がりきった時…眼下に見えた緑の場所。
まるでオアシスのようなその場所は、紛れも無く砂の町“サザルツ”で。

やっとか、と言わんばかりに同時に溜め息を吐いた俺達。


「オレ…ミイラにならずに済んだよ…!」


オズは涙を一杯目に浮かべて砂丘を駆け下りた。

笑いながら俺とフランも砂丘を降りる。

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