花嫁と咎人

「……大丈夫か頭。」


そして今度は突然立ち上がると、


「…一曲、歌います。聞いてください。“お前は罪な男”」


突然望遠鏡を手に持ち…大声で歌い始めた。


「♪お前はぁーお前はぁーつーみーなー男サッ!」


  ◆ ◇ ◆


「…何歌ってんの?」


ジィンが苦笑いをする。


「さ…さぁ…」


どう考えてもオズの声だわ…。罪な男…?
何を歌っているのかしら。


「ま、とりあえず今日の夜、言うんだろ?」


「う…うん。」


「頑張れよおぉー!」


  ◇ ◆ ◇


その頃。

アーニャは自室で一冊の分厚い本を開いていた。
そしてその脇には、薄緑色の液体が入った小瓶。

分厚い本には『毒薬全集』と書かれている。


「…普通、こんな危険な物…持ち歩かない。」


そう、その小瓶は先程ぶつかった、ハイネとかいう男のポケットから抜き取ったものだった。
明らかに量の減っているその液体。

―…大物よ。

自然と顔が引きつる。

そして次に一枚の紙を取り出した。
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