花嫁と咎人
でも、あと一つ気になることがあった。
気のせいかも知れないけれど…
どうしてアーニャちゃん、ハイネばかり見ているの…?
そう、ずっと彼女の視線の先が気になっていた。
気にしないように努力してみるけれど…考えは嫌な方向ばかりに偏って。
もしかしたらアーニャちゃんもハイネの事が好きなのかも…。
だなんて思ってしまう。
ああ、私はいつもそう。
そんなだから、いつまでも気弱なままなのよ。
今は自分を信じなければ。
余計な考えを振り払い、再び手を進める。
…それから何事もなく食事は終わり…今度は皆で食器を洗う事に。
「甕の中の水を使って!貴重な水だから、少しずつ使ってくれよ!」
そう何度もジィンに言われ、必死に洗っていると…
突然何かが割れた音がして振り返る。
音の先にはハイネの姿があった。
「……ハイネ…?」
「わり…ぼーっとしてた。」
そう言って割れたガラスの破片を拾い出す彼だが、何処か様子がおかしい。
ハイネが皿を割るなんて…。
おかしいわ。
そんな失敗は似合わないもの…。
私が困惑している矢先、アーニャちゃんが真っ先にハイネに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
優しくハイネに声をかける彼女の姿を見ているのが、とても辛くて。