花嫁と咎人
◆ ◇ ◆
暫くした時、木の根っこから青い小鳥が入ってきた。
するとさも嬉しそうに戯れ始める小鳥たち。
「王子様が迎えに来たのね。」
微笑ましくその光景を見ていると、青い小鳥はしきりにチチチと鳴いては私を見る。
一体どうしたのかしら…?
不思議に思っていた時、ざっと音がして…私は振り返った。
するとそこには、見覚えのある顔の…銀色の髪の男の人が立っていて。
「………フラン。」
「…ハ、イネ…?」
思わず目を見開く。
が、咄嗟に顔を背けてしまう。
…どうして、どうしてこの場所が…。
きっと、あの青い小鳥がハイネをここまで連れてきたのね…。
心臓が高鳴る。
でも、顔が合わせられない。
だってハイネはアーニャちゃんと…。
「勝手にこんな所まで来てしまってごめんなさい…。でも、私は大丈夫よ。ハイネは早くアーニャちゃんの所へ行ってあげたほうがいいわ。」
なぜ、こんな事を言ってしまうのだろう。
分からないけれど…何故かとてもむかむかしてしまって。
「は?…何言ってんだよ、俺はあの女なんか、」
「…アーニャちゃんはハイネの事が好きなんでしょう?なら、私なんかに構ってたら、誤解されてしまうわ。」
……自然と涙が溢れてくる。
本当は好きって素直に言いたいのに。
悔しくて辛くて…悲しくて…。
「だから、あの女とは何も、」