花嫁と咎人

  ◆ ◇ ◆


「あーもう、ヤダヤダ。二人で仲良く寝転がっちゃってさ……何でアイツばっか…」


「ホントお前ヤキモチ焼きだな。…しっかりしろよ、失恋もまた恋愛の醍醐味さ。」


そんなオズとジィンは、気の根っこから二人を覗いていた。
背中には全員分の大きな荷物。
いなくなったハイネを追い掛けてやって来たはいいが…荷物を殆ど運ぶハメになってしまってしまった。


「でも、絶対おかしいって。なんでいっつもアイツばっかモテんの?」


「お前がキモいからだろ。」


「きっ…キモい!?このオレが!?」


そして再び泣きべそをかき始めるオズ。


「まぁまぁ、そう落ち込むなって。フランが駄目でもアタシがいるだろ?」


「え?何…ジィンちゃんオレの事好きなの?」


「は?え、あ、さ、さぁね…」


マジで!だなんて喜び始めるオズだが、これはジィンの優しさであり本気ではない。


…こんな尻軽男誰が好きになるかよ。


これが彼女の本心である。

そして暫く経った後、落ち着いたフランとハイネを連れて無事“審判の洞窟”を抜けた一行。


「アーニャにはキツく言っておくから…まあ今回は見逃してやって―…って言えるほど小さな問題でもないんだけどさ…。」


ジィンはそう言って申し訳なさそうにするが、ハイネが「もういいよ、気にすんな」と言った事で、事態はなんとか丸く治まりそうだ。


「…ジィン、色々とありがとう。あなたには本当に感謝してるわ。」


そして次にジィンとフラン。


< 179 / 530 >

この作品をシェア

pagetop