花嫁と咎人
「そんなに遠いんですか…!?…いえ、では私もお供します。」
「ハア?無理しなくていいだよ、オラ達女神様とずっと一緒にいっでだんだべ。道さ、もう知ってるしな。」
「いやでも危ないですよ、賊にでも襲われたら…!」
すると何が面白かったのか、突然コレットは笑い出した。
「誰もオラ達を襲おうなんて思わねぇべ。なんたって“悪魔の子”だもんな。オラ達に手ぇ出せば何が起こるか分かったもんじゃねぇ。」
……途端、彼女から笑みが消える。
もちろん、エルバートの表情はより深刻なものになって。
「…やっぱり、着いてゆきます。」
そう言いながら荷車を押す手伝いをし始めた。
「…王子様、あんた物好きだっぺなあ。」
そんなエルバートを見ながら驚いた表情をする二人。
「ええ、私は困っている人を見るといてもたってもいられなくなる性分なので。」
だが、コレットは言う。
「別に、困ってるだなんて言ってねぇべ。」
するとエルバートはキッと二人に視線を向けると、
「ちょっと黙ってて下さい…!」
ムッとして言った。
3人は行く。
広い広い草原の大地を。
「意地っ張りな王子様だな。」
コレットの笑い声を残して。