花嫁と咎人
◆ ◇ ◆
「あの、色々とありがとうございました!」
勢いよく頭を下げるフランと、まるで感動ドラマのように…
「うあーん、ジャックさーん…!」
鼻水を垂らして泣くオズ。
俺は溜め息を漏らしながら、小さく息を吐いた。
それから軽く会釈をして…頭を下げると、
「元気でやれよ!」
「家に帰ったらご両親に宜しくね!」
ジャックとリサは手を振って俺達を見送る。
―…黄昏時。
俺達は向かう方向も一緒と言う事もあって、赤毛の姉弟の家へと向かう事となった。
姉弟は“悪魔の子”だとジャックは言っていたが、いたって普通の子ども達のようで。
姉は恐らく14、15歳だろう。
…それに、他にも気になる事があった。
そう、それは魔女の話。
ジャックが言っていた“例の水”を作ったといわれる魔女の事。
今はこの姉弟が住んでいるが、元はといえばその魔女の家だ。
きっと何かある。
俺はそう確信していた。
「荷物をお持ちします、姫様。」
「え、いいの?ありがとうエルバート。」
それにしても。
ブランタンを出てから何時間も経ったというのに…
一向に離れる気配の無いエルバートとフラン。
荷車を引く姉弟の後ろを歩きながら、何やらぺちゃくちゃ話している。
話の内容はおおよそ予測できるが…