花嫁と咎人

すると女性は「ウィリー!この馬鹿!アンタホントに馬鹿ね!」と何度も男を小突き…


「す、すみませぇん…こい、この子、まだ若いもので…」


何度も咳払いして視線を戻す―…が。


「あら。そちらの方は?」


その視線はルエラを通り越してオズの方へ。

まさかの展開にオズはギクリとして後ろを向くが…


「今日、大活躍を成された…ん?もしかして…あの、ヴァルドヴァレスの…」


「…ち、違…」


「いえ、やっぱりそうだわ!」


「ちちち違いまーす!」


刹那、裏声でそう告げると、オズは逃げた。


「あ!待ちなさい!ウィリー、車!」


そしてその後を追いかける新聞記者達。


「おーいオズ君!その服、着替えたほうがいいぞー!」


そんな彼の後姿に声を投げながら、ルエラは優しく微笑んだ。

夕焼け空と同じ色の瞳を煌々と揺らめかせて…

仰ぎ見るのは、弟のいる国の空。




「さあハインツ、今度は私の番だ。」





< 370 / 530 >

この作品をシェア

pagetop